フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~
何故、王がこのような話をしているのか、リリアには最初は分からなかった。だが、すぐに理解する。
リリアが――彼女自身が次にそうなると、言っているのだ。
リュシオスが大人しく政治の道具になるならそれで良し、そうでなければリリアが母や姉のようになると、そう言っているのだ。
リュシオスは国王たちの道具。玩具。そして、リリアが彼を縛る枷。
リュシオスは、脅しを突っぱねた。毅然として。
国王が帰ってから、リリアを奥の部屋から出し、左手に捻じ込んだ指輪を外し、投げ捨てた。抱き締めると、
「ごめん。連れて来るんじゃなかった」
そう言って、また唇を重ねる。涙を流しながら。
憎い男の息子でも、愛してくれた母と姉。そして、リリア。
彼女が側に居てくれれば、乗り越えられそうな気がした。だが、独りよがりに気づく。
どうすることもできない。ただ、彼女に不安を抱かせるだけだ。
やっと、気づいた。
リリアは、思いがけないファーストキスの感傷に浸る余裕も無かった。
◇◆◇◆◇
リリアが――彼女自身が次にそうなると、言っているのだ。
リュシオスが大人しく政治の道具になるならそれで良し、そうでなければリリアが母や姉のようになると、そう言っているのだ。
リュシオスは国王たちの道具。玩具。そして、リリアが彼を縛る枷。
リュシオスは、脅しを突っぱねた。毅然として。
国王が帰ってから、リリアを奥の部屋から出し、左手に捻じ込んだ指輪を外し、投げ捨てた。抱き締めると、
「ごめん。連れて来るんじゃなかった」
そう言って、また唇を重ねる。涙を流しながら。
憎い男の息子でも、愛してくれた母と姉。そして、リリア。
彼女が側に居てくれれば、乗り越えられそうな気がした。だが、独りよがりに気づく。
どうすることもできない。ただ、彼女に不安を抱かせるだけだ。
やっと、気づいた。
リリアは、思いがけないファーストキスの感傷に浸る余裕も無かった。
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