グッバイ・マザー
 煙突から細い煙が立ち上っている。人を焼いた煙だ。僕の母は今日この世からいなくなる。
 母の骨は、きっと、いつか見た珊瑚の欠片のように白くて細いのだろう。
 僕達は母の姿をしたものと永久に会うことが出来なくなる。
本当の、決別だ。
 僕の母は死んだのだ。僕は今になってそれが分かった。それがどういうことかも。
 母はいない。僕の母は死んだのだから。僕を産んだ人は、もうここには居ないのだ。
 母が死んでから3日が経っていた。僕はその日、初めて泣いた。
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