現実RPG
「は……」


その文字に怒りがこみ上げる拓馬。


「面白い、面白くないの問題じゃねぇんだよ!」


ガンと壁を殴る拓馬。そして店主の目の前に立ち、叫んだ。


「おい!薬草、売れよ!」


「売り切れだ」


「ナメんな、ボケが!」


「売り切れだ」


「このヤロー」


店主の胸ぐらを掴む拓馬。しかし、その手をフッと緩めた。


「くそ!」


そう吐き捨てると、傍にあった壺を蹴り倒して店を出た。


そのとき、ふと頭を過ぎる記憶。


「……あ!」


急いで、外に向かって走り出した。血まみれになった薬草を、捨ててきてしまった。


「あと、一個しかねぇのに……」


勢いよく外に飛び出すと、さっき薬草を捨てた所に走った。


「あれっ……」
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