現実RPG
いくら探しても、薬草が無い。


拓馬は四つんばいになり、キョロキョロと探した。


「無い……無い!」


そのとき、再び音がする。


ガシャ、ガシャ……


「くそ!くそー!」


拓馬は再び走り出し、また町の中へと逃げ込んだ。


「なんで、無いんだよ……」


少しの間、入り口に座って放心状態になった。


しばらくして立ち上がった拓馬は、くよくよしても仕様がないので鎧を買いに武器屋に向かった。


薬草は体を治しても、防具までは治してくれなかった。


武器屋の中に入ると、店主が声をかけてくる。


「いらっしゃい」


「鉄の鎧をくれ」


「2500円ね」


その言葉に、ポケットをまさぐる拓馬。そのとき、気がついた。


「あ!」


もう、金が一銭も無い。


「やっぱ、いい……」


そう店主に言うと、拓馬は店を出た。


「やべぇ……どうすんだよ、これ……」
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