カラカラライフリズム
聞き慣れない単語に、思わず樋口が訊き返すと、
進藤は忌々しそうに言った。


「国内の乞食や病人を殺害して、

『これで我が国に飢えや病気で苦しむ人間はいなくなった』

と宣言した男……吸血鬼ドラキュラのモデルになった、
トランシルバニアの串刺し公だ。

そこまで言えば分かるだろう?……まあいい、話を戻す。

今動ける執行史は、晴喜だけだ。
他は皆『外』での処刑が忙しい」


最上晴喜(もがみはるき)。

樋口の担当している最後の一人。

進藤が引き合いに出したのは、この寮内で唯一の女性CPGの事だった。

樋口はぎょっとして、


「晴喜だと?……あいつは駄目だ。

第一晴喜は、突き落とす以外のやり方を知らないだろ。

CPGが一番最初に執行をするやり方で、今まで通してきてるんだぞ?

一樹や光じゃ駄目なのか?」



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