カラカラライフリズム
「いいか、樋口。奴等――特に光は、
そのヴラド・ツェペシュと同じだ。

残酷さの点でな。

ただ違うとすれば、奴が好奇心で動いているという事だ。

こちらの注意などお構いなし。

試してみたい『方法』があれば、誰が怒ろうと泣こうと吐こうと、
奴の目には何も映らない。

……前回の視察の件を、忘れたとは言わせないぞ」


「そうかよ。……じゃあ、何で今日二人を呼んだんだ?」


進藤の考えの通りにいくのなら、
本来はここに晴喜がいなければおかしい話だった。

もっとも、彼女は重度の引きこもりに近く、極端に人嫌いではあったが、
担当官の自分にその旨が、何も伝えられていないというのは、おかしい。


進藤は溜息を吐いた。


「何も俺は、二人を完全に今回の視察の件から外そうという気は無い。

つまり、あと一週間で晴喜に『突き落とす』以外のやり方を仕込めば良い話だ。

あの二人には、それをして貰う」

「もし晴喜が嫌だと言ったら?」


「言わせん」

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