カラカラライフリズム



――腕を掴まれる、生々しい感触……。


幼い頃、その力は自分を支配する全てで、自分を叩く女は、

それでも愛すべき誰か、のはずだった。


怖いと思いながら、やめて欲しいと乞いながら、どこかでそれを許していた。


殴られる自分が悪いんだと、そう処理する事で、耐えていた……。


一樹は、短い呼吸をしていた。


何故か息が苦しい。


酸欠のせいだろうか。


頭痛もひどくなってきた。


吐き気さえする。


呼吸のために深く息を吸おうとするがこれ以上口を開けると、本当に吐いてしまいそうだった。
 


いっそ、吐こうか。
 

胃の中のものを空っぽにしてしまえば、いくらか楽になれるのかもしれない。


思い付くと、それ以外に快方へ向かう方法は無いように思われた。
 


よし、吐こう。


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