カラカラライフリズム



……一樹は、樋口が自分を殺しに来た事を、覚えていないのかもしれない。


数年前――こんな事もあった。

 
その頃の一樹には、今以上に生存本能というべきものが欠如していたようで、


彼は管理しなければろくに食事も摂らず、眠りもせず、


あるいは起こすまで数日間眠り通しているような有り様だった。
 


だが、それ以外の一樹の素行に、特に目立った事は無かった。


だから、誰も気付かなかった。


日頃、大人しく過ごしている人間ほど、その変化は見逃されやすい。
 

CPGは、訓練や手入れ等の目的で、各々が得意とする『得物』――


つまり日常的に武器の所持が認められている。



 
そして一樹はいつも、眠る前に弾丸を抜いていた。


それは、ズボラが多いCPGにしてはとても珍しいことだった。


< 840 / 860 >

この作品をシェア

pagetop