カラカラライフリズム



機密データを保存した機器の類は、既に別の場所に隠してある。


この雨で壊れる心配は無い。


ただ、彼は身一つで逃げているにも関わらず、じっとりと雨を含んだ服の重みにさえ、耐えられなくなりそうだった。
 


狙撃手は、どうやら一人ではないらしい。


ただ、CPGを追手に使うのかと思っていたら、雇われた人間のようだった。


(……そうだよな。僕をCPGに引き合わせる事なんて、出来ないもんな……)
 

息が切れた。


視界が悪い。


(多分……捕まっても、僕は殺されない。


でも一生、外へ出られないかもしれない……)



 
手足を切り落とされるかもしれない。
 
薬漬けにされるかもしれない。
 
用済みになれば殺されるかもしれない。
 


悪いことばかりが頭に浮かぶ。


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