サルビア
うっとうしい。

いらん。

そんな言葉が、頭の中を、グルグル駆け巡った。

エリは涼さえいたら、他はどうでもいいんや。

あたしの事も、そんなもんなんや。

そう思った瞬間、あたしの頭の中で、何かが切れた。


「いいんちゃう?
好きなようにしたら?」

冷たく言い放ったあたしに、エリは困惑した表情を見せた。

何なんさ、その顔…

あんたを妹やと思って心配してきたあたしの気持ちなんか、知りもせんと…

「そっか、わかった」

そう言ってエリは、気まずそうに部屋を出て行った。


結局、それが答えなんや。

エリは涼が大事で、それ以外の人間は、どうでもいいんや。

そのうちお金が落ち着いたら、涼と一緒に、東京に行く気なんや。

あたしってあほみたいやん…

もう、エリの心配なんか、するもんか…

あたしは心に誓った。




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