俺.AND.ROID


「いいんだ。いや、よくねーけど…。つか雪音はほんとに泣いたのか?」



正樹さんは妙に不思議そうな顔をしている。



「はい。目から出る液体が涙だったなら、雪音サンは泣いたのではないかと…」



俺はまだ心のどこかでアンドロイドちゃんは人間じゃないかもしれないと思ってる。



「俺、雪音が泣くところ見たことねぇんだよ」



「え…?」



「あいつ、感情を表に出さないだろ?」



確かに。



俺は大きく頷いた。



「ちょっといろいろと理由があってな。あいつ、自分をうまく表現できないんだ」



理由を知りたい。


アンドロイドちゃんがなぜアンドロイドと呼ばれるようになったのか。


興味本位ではない。


俺はアンドロイドちゃんのあの涙のわけをどうしても知りたい。

しかし、その理由を聞くべきか否か迷った。


聞いてしまったら、なにかが変わってしまうかもしれない気がした。


そしてそれが、なんだかとても恐ろしい気さえした。



「話せば長いんだけど…」



と言って正樹さんは俺に話し始めた。



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