危険中毒
モニカのその後の検査は、
俺とミオとで立ち会った。

すっかり回復した彼女を
病院に置いておく訳にもいかず
彼女が懐いている事もあって、
俺が身柄をあずかる事にした。

この時ほど、
軍人や、友人として以上に、
ミオの存在を頼もしく
感じた事はない。


急激に栄養状態を改善され、
目に見える成長を現すモニカを
俺一人で対応できるはずも
なかったから。



そして、幼少の頃から、
兵士として育った少女は、
一般常識を完全に
無視した環境にあった為、
社会との適合性を監視する
必要がおおいにあった。


その一つが、読み書き。

『モニカ。
名前のスペル、あってる?』

俺達が、彼女に
最初にした質問が
それだった。

アルファベットを
読み上げる。

『それ、何?』

キョトンとした顔の少女に、
俺達は固まった。

『ああ、これ。
モニカって、
こう書くのか確認よ。』

言い方がまずかったかと
ミオが彼女に、
スペルをみせた。


『私の名前って、
こう書くんだ?』


横から紙を見て、
彼女は、ニッコリと笑った。


その、瞳の輝きに

一瞬目を奪われた。



 
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