危険中毒
 


「・・・計算は

できるわけだ。」

モニカに四則を試す。

比率、分数、
簡単な方程式、
化学式・・・

一般生活では、
必要としない関数モノまで、
彼女は、化薬の調合に
必要だったため、
実践の中で習得していた
らしい。


「大体・・・

おまえの事、
わかってきたぞ。」

言った俺に、
彼女は不思議そうな
顔をしてみせた。


「俺の事?」

モニカがいう。


・・・その、容姿で、

その単語がでたら・・・

お前の過去をしらない男は、
大概固まるぞ。


俺ですら、
脱力したんだから。


「コラ、人称がおかしい。
教えただろ?『私』か、
百歩ゆずっても、『自分』。

恋人ができたら、
モニカが困るんだぞ。」

言った俺に、彼女は、
微妙な表情をして言った。

「・・・ジューン医師?」


・・・誰だよ・・・
そんな事、吹き込んだ奴は。


言葉につまる。


「私は・・・いらないし。」


モニカは、そう言い残して、
キッチンに行ってしまった。



思春期って奴かな。


拗ねた様子の
モニカの後ろ姿を見ながら、
同じ頃の自分を被せていた。



 
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