危険中毒
 
さっき・・この男、

『出口はない』って、
いった。


明らかに手加減が見える
ムーンの攻撃を交わしながら、
彼の手足のながさを測り
距離をとる。

タイトな
生地の面積の少ないドレスが、
足の動きを奪う。


ナイフで、
くるぶし近くまである
ドレスを裂き、
スリットをいれた。

呆れるほど、
冷静に対処してる。

ムーンの目が、
予想外というように、
私の動きを見つめている。


それは、私自身の感覚が、
そう思わせたのだろうか?

さっきまでの、恐怖が
嘘の様に収まる。


「リディア。
調子に乗るなよ。」

ムーンが口元に
笑みを浮かべいうが、
その眼は険しい。


こんなこと、
いつまでも
やってられない。


本当に、ここから
逃げられない?


この男、
なんて言ってた?


この部屋までの
順路を覚えてるか、
聞いてた。


覚えてる。


出れるんじゃないか?


『諸悪の元凶を絶てば・・・』
って、いった。



ーーー司令塔を潰せーーー
ーーーー忘れるなーーー


どこかで聞いた声が、
体の中で響く。


元凶・・・
司令・・・塔




 
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