危険中毒
 


地下二階 実験室



キムの情報では、
そこに、あの少年兵は、
いるらしい。


俺達のような、
サタンの側近の人間しか、
実験用棟への出入りは
許されていない。

セキュリティも施し、
不可能ではないにしろ、
部外者が入れる訳でもないのに
そこまで管理をする理由は、
あまりに危険度が、
高いからに尽きる。



・・・・?



いつもと、様子が違う。



完全に、
人の気配すらしない、
通路を歩く。

不自然なまでの静けさ。


微かに漂う血の匂いに、
胸騒ぎを覚え、
銃を手に、走り出した。

蛍光灯に浮かび上がる
無機質な白い壁で囲われた、
固いPタイルの通路に、
足音が響く。

T字路に差し掛かり、
減速する。

角を曲がれば、長い通路の先に
この連絡通路と、その単独棟を
仕切る、最初のドアがある。

・・・その通路から、
血痕が、点々と
自分が走って来た廊下の前方に
したたり続いている。

それらは、反り血だろう。

量も多くなく、

まだ乾ききっていない。


どちらを・・・
確認する?


俺は、

どちらを
優先すればいい?



 
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