びいだま

こいバナ


「・・・こんにちは~・・・」



そっと覗いた病室の中で、私と目があったマアコが


「果歩ちゃんっ!」


と嬉しそうに声を上げた。



と、同時にマアコのそばにいた小柄な女性が私を見つめて会釈した。



「母さん、果歩ちゃんだよ」


「あぁ・・・マアコがいつもお世話になってます」



そうやって嬉しそうにマアコのお母さんは笑った。



「母さん、果歩ちゃんね、ユウの彼女さんなんだよ」



マアコがそう言った先でお母さんが表情を一瞬こわばらせた。


??


「悠司くんの?」


「そうだよ?」



「そ、そう・・・・そうなの・・・」


「母さん?」


マアコが声をかけるとお母さんははっ、とした顔をしてからごまかすようにふふふっ、と笑ってからドアに向かった。


「ごゆっくり」


「は、ハイ・・・」



そう言ってバタン、とドアが閉まると、マアコが私の手を引っ張ってねぇねぇ、と嬉しそうに笑った。





< 197 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop