びいだま

瑞貴もユウの記憶のことを誰かから聞いてるのか、少し怪訝そうな顔をしてたずねた。


「お前・・・・俺が海外行ってた事、なんで知ってんの?」


「は?何で知ってる、って・・・・変なこと聞くなよ」


「変なことって・・・・じゃぁ・・・・」



と言って瑞貴はあんなさんの隣にいる私を見つめた。



「果歩は?果歩のことも、覚えてんのか?」


「瑞貴!!」


とっさに瑞貴の服の裾をつかんだ手は小さく震えてる。


ダメ。


瑞貴、ダメ・・・・っ!



「カホ・・・?って、もしかして大橋さんのこと?覚えてる、って何を?」


不思議そうに首をかしげるユウに瑞貴は、ユウに向かってあげかけた手を力なく落とした。



「『大橋さん』って・・・・なんだよ、それ・・・・お前、本当に・・・・?」


「瑞貴・・・・、もういいから。ちょっと・・・いい?」



私は、瑞貴の言葉をさえぎって彼の腕をひっぱり、病室の外に出た。




< 353 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop