びいだま
7th.Last Love

ホントウは…


「会える?」



というあんなさんからのメールで待ち合わせをした会社のロビーで、



机に座って聞いたあんなさんから語られるユウの真実に、心が次々に刺され続けていく。



私が頭を打った、あの事故のとき。



私をとっさにかばってくれたのがユウだったって事。



・・・ホントはなんとなく気がついてた。



だって、忘れるわけがない。



あの香りを。


包まれる優しいぬくもりを。



だけど、



本当にそうだったとしたら切なすぎて、苦しすぎて、


私は見ないようにしてた。


考えないようにしてたんだ。



両手で顔を覆って泣き出す私の前で、あんなさんは静かに話し続けた。




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