びいだま

友達として


それでも・・・・


「いいかげん、告っちゃえばいいのに」


呆れたようにつぶやくコマキを横に、今日も窓からフェンスの向こうの彼をお見送り。


「だって・・・・もしかして・・・彼女がいたりさ、するかもしれないし」


「ハハハ・・・ないない!」


コマキは窓に背中をもたれさせて笑った。


ううっ・・・そんなに言い切られるとそれはそれで少しムッ、とするんですけど。


「わかんないじゃん!」


少し語気を強めた私をちらっ、と見てから天井を見上げてコマキは言葉を続けた。


「いないんだって。垣内と同中の女の子に聞いたよ?」


え・・・・?


「でさ、なんと!あの王子と垣内って小学校から一緒らしいよ!」


なんて?


いやいや、後半の情報はどうでもいいんだけど、さっき・・・


「彼女、いないの?」


私が思わずつかんだ制服の裾を見て、コマキは面倒くさそうにうんうん、とうなづいた。


< 9 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop