二人で一人〜永遠に
俺達は、マリンタワーから離れ谷戸坂を過ぎ山手通りを歩き教会の前に来た。
「…着いた?…」
「…あぁ」
【…あの時…この場所に…無事に着いていたら…私達は……】
千冬は、教会に顔を向けて微笑んで見つめていた。
「…琉汰……」
千冬は、ポケットから何かを出して、俺の手の平に何かを握らせた。
「…何だ?…」
「………」
俺は、ゆっくりと指を広げた。
【…!!】
「千冬!…」
「返さなきゃ…もう、私が持っている物じゃないから…」
千冬は、微笑みながら言った。
俺の手のひらには、千冬の左薬指に着けた指輪があった。
「これは、俺が千冬の為に!…」
「ダメだよ!…この指輪は琉汰に返さなきゃいけないんだよ!…私が持っているわけには…」
【!!】
俺は、千冬を抱きしめた。
「…持っていてくれ…この指輪は、千冬の指輪なんだ…千冬が持っていてくれないのなら…捨てるしかない…俺達の大切な思い出として…持っていてくれ…頼む…千冬…」
「…琉汰…」
琉汰の声は、震えていた。
「…頼む…」
俺は、千冬を抱きしめながら、指輪を強く握った。
【………】