究極のメソード
「渡辺君、君の小説はだな…」


数多くの人々がうごめく
オフィスの中


窓際に座る頭の禿げあがった男のデスクの前に
立つ渡辺。


その姿はまるで職員室で子供が
怒られている様とそっくりだ。


「君の小説は重いんだよ。
もっと軽い感じで若い女性も読めるような


文章じゃないとだめだよ…」


渡辺は下を向いて黙って立っている。


「そういえば渡辺君、子どもが生まれたんだってな」

渡辺は苦笑いのままうなずく。
そして自分の原稿がおかれたデスクをじっと見つめた。


この原稿が採用されれば
生活も楽になる。


しかしその可能性は限りなく薄いと
渡辺は肌で感じ取っていた。
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