神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
第二章 遠野の里〜過去〜
【廃ビル襲撃より五年前】



神楽一族。

遙か昔平安時代…それは、世に妖がはびこっていた時代。
陰陽師、安倍晴明が表の世界で退魔を行っていた裏で、秘密裏に強敵と立ち向かっていた一族…。

決して表の舞台には上がらず、世間にその退魔の技法が広がら無かった一族…。

その深い理由は「血」

そう、神楽一族には、その一族を除いて伝承が出来なかったのだ。

始祖 神楽葉明は妖との間に子をもうけ、その混血により異能の力を授けたという…。

それ以来、その血は薄れることは無く、数々の退魔士を作り上げた。

その血を受け継ぐ者は、母親の腹にいるうちに妖の力を宿す。
だがそれは、どの妖の魂が宿るのか…神楽一族にも分からなかった。

その赤子を宿主と決めた妖のみ力を貸す。無理に決めることは不可能であったからだ。

だが神楽一族は二つの事に気がついた、一つ目は、両親の霊力が高いほどその子の霊力が親を上回る事。
もう一つは、その親の命と引き替えに、その親の妖の力を伝承する事が出来るという事だ…。

「神楽 透」

彼は一族には類い希な妖憑きであった。
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