神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
白蓮はその場の指揮を別の者に託すと、屋敷の方へ透達を連れていった。そして歩きながら説明した。


「現れたのは何体もの妖じゃった…。
指揮をしとったのが鵺。御影の張った結界を破って入ってきおった。」

それを聞いて沙綺が言った。


「まさか御影さんの張った結界がそんなにモロいはずがない」

沙綺の問いかけに白蓮はゆっくりと首を振りながら答えた。


「奴は半身を犠牲にしてまで、ここを潰す覚悟で来たのじゃ。あれ程の大妖なら不可能ではない。」


「そういえば御影さんはどうしたんです御館様の警護に就いてたはずじゃ」


「鵺にやられて重体じゃ…。意識はない。」

その時の状況を白蓮は説明するとともに、今は白蓮の私設病院に運ぶ所だと話した。

その病院は民間とは違い、退魔士達が治療を受ける白蓮が建てた病院であり、医師達も妖の存在を認知している闇医者の病院である。

透達は話もそこそこに患者の搬送や遺体の回収に当たった。

そして全ての患者を運び終えた明け方になって、もう一度白蓮の元へと向かった。
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