神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
そして京都八坂神社祇園祭当日。
通常であれば五穀豊穣を願うのが祭りの常、だがこの祭りはそのような側面は全くない、都市型の祭りであった。
元々の由来は日本神話に遡る。
貞観5年(863)京の都に疫病が大流行した。
当時は治療等の技術は発展しておらず、祈祷のみが治療法とされていた。
この疫病は恨みを持って死んだ者達の御霊のせいとされ、「おんりょう」から「怨霊」へと変わり、それを鎮めるために人形を水に流す大祈祷が行われた。
しかし、時が流れても続く疫病や戦災、飢餓はいつしか八坂神社の魔神、午頭天皇のせいだと考えられ始めた…。
その理由として、午頭天皇は神話の中で、竜宮の姫の夫とされている。
その姫を迎えに行く途中、富豪の人間の家に一夜の宿を借りに行くのだ。
しかし、その富豪は傲慢な態度で午頭天皇を迎え入れることはなかった。