神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
幹矢は照れ笑いを浮かべながら頭を掻いた。

 月読の強さは透達は良く知っている。その月読が彼から十年もの間一度も勝てないという事は、二十代にしか見えない幹矢が、十代の時から月読より上の実力者だったという事だ。

透は思わず幹矢の顔を見つめてしまった。


「それよりも透君…。」

「透でいいです。呼び捨てで構いません。」

「それじゃあ透…君達が戦ってる妖達のボスは誰なんだい?
あの大妖怪 鵺が手下なんてどうかしてるよ全く。」


幹矢は名前だけしか知らないが、余りにも有名な名前に呆れて首を振った。


「奴等のボスは誰なのか俺達にも分かりません…ですが鵺みたいにプライドが高い奴が従う程ですから、間違いなく強敵でしょう。」


透は雪女にすら苦戦を強いられた自分に、少し不安がよぎった。
月読との修行がなければ、今頃自分はここに居なかったかもしれないと…。
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