神楽幻想奇話〜鵺の巻〜
沙綺と透が部屋から去った後、白蓮はしばらく考えていた…。

「御影や、今の話どう思う?」

その問いかけに、今まで透たちが座っていたすぐ後ろから返事があった。

「はい…、奴らが動き出しているのは間違いありません。
現にここ数年、妖の活動が活発になっています。」

実は御影は最初からこの部屋にいたのだ。
それは白蓮は知っていた…。

だが、御影は一切の気配を絶つことによって、透達に気づかれずにそこに立っていたのである。
視界に入っても意識しないと見えない…、そこまで気配を絶てる退魔士はそれほど多くは居なかった。

白蓮は御影の答えに一つうなずくと、外を眺めながら言った。

「奴らの目的…百鬼夜行か。」


「…恐らくは。」

そこまで言って、白蓮と御影は黙り込んだ。

夜風が鈴虫の音色とともに窓辺の風鈴を鳴らしていた…。
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