この空の彼方
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そわそわと着物を摘んだり、身体を揺する灯世を見て、丈は呆れたように言った。
「灯世様、いい加減に八重様を信用なさって下さい。
あの方は腕を認められて屋敷に呼ばれたのですよ。」
わかってはいる。
わかっているけれど、心配なものは心配だ。
向こうの術者と戦うことになった時、八重が怪我をしたり、最悪命を落とすかもしれないのだ。
八重は今、山城の屋敷で破られた結界を直しに行っている。
灯世も一緒に行くと言ったが、駄目だと部屋に押し込められたのだ。
自分の目で八重を見ていられないというのは、不安をより一層煽った。
それに、守護者の仕事は祈祷だけではなく、魔物を使うなどと聞かされた後なら尚更だ。
「私も行きたい。」
「駄目です。
未熟者が行っても足手まといなだけです。」
淡々と言い放たれ、灯世は顔を歪ませた。
未熟者は痛い。
確かに自分は力もないし経験も積んでいない。