【実話】万引アダルトビデオ
時間にすれば数秒、
いや、もしかしたら
1秒にも満たなかったかもしれない。
 
 
だがその一瞬が、
何分にも、
何時間にも感じられた。
 
 
ただ静かで、
店内を流れる音楽や空調の音、
外を走る車の音、
それすらも聞こえなかった。
 
 
その静寂の中に存在していたのは、
私と男の精神と、そして、
アダルトビデオ(人妻)だけだった。
 
 
心と心がしのぎを削り、
血を流し続けた。
 
 
終わりのないようにも思えたその瞬間は、
男の、次の一言で崩壊したのだ。
 
 
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