あなたの隣
拓真side




ダダダダダダダッ

ばっ


スパンッ


「ちょっと、何事?」


凄い勢いで何かが向かってきて、俺の部屋へ飛び込んで来ると、ずるずるとへたりこんでいくのを背中に感じた。



振り返らずとも誰だかわかる。



相手は背をむけての問い掛けに答える様子がない。


おかしく思ってカチカチと操作していたケータイから手を離した。




「うっ…ううぅ〜っ」



「詩桜姉?…泣いてるの?」

俺がそう問い掛けると詩桜姉はプッツリと糸が切れたかのように、

むせび泣きをし始めた。



「ぅあ゛〜ぁあ〜あ〜あ〜っ」





本当に、何事なのだ。

詩桜姉は大粒の涙をながしながら声をあげる。



その肩をそっとさすって涙をぬぐってやると詩桜姉はう゛っうっと涙を堪えて唇から言葉を紡ぎ出した。



「かぇって…帰って来たよぉ〜っうっよかっ、だ」


しゃくり上げながらも必死に言葉を紡ぎだす


「?落ち着いて。…何が帰って来たの。主語。」








あぁ、聞くんじゃなかった。そう思ったときにはもう遅すぎて、詩桜姉は俺に縋り付くようにして



「お…ぉじさんっが、依介おじさんが、帰ってきたよおぉ〜っ」


と泣きじゃくっていた。







どうなっちゃうのかな、これから。
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