蒼がみえる星


村に着いた途端、震えた。なんとも言えないものがぞわぞわと上がってくる。


村に入ってすぐ家から人が出てきた。私の姿を見るとすごい勢いで走ってきて平手一発。
私を追いかけてきた奴の一人だろう。


「痛っ」


口内に鉄の味が広がった。


「ちょ、ちょっと誰のあなた。子供に向かっていきなり平手って…」


「はっ。あんたこそ誰だ。今までこいつをどこに隠してやがった。あとな、俺はこいつの保護者だ、これは躾だよ。」


保護者と聞いても疑っているのか私を見る。男も私に視線を向け鋭く睨む。本当に?と聞いている凛さんに頷いて見せる。


凛さんを巻き込んではいけない。


「ありがとうござうました。こんな遠くまで…」


言葉を続けようとする私を凛さんはそっと抱きしめてくれた。そして私にしか聞こえないくらいの声で一言。離れる瞬間には手に何かを渡された。


「短い間だったけど楽しかっわ。じゃー、またどこかでね。」


そう言って凛さんは村を出て行った。これから地獄行き。男はニタニタ気持ち悪い笑い顔で私を見る。


「おかえりぃ、実梨。さんざん探したぜ…はは。」


こっちへこい。そう言われながら引き摺られて向かった先は昨日まで閉じ込められていた小屋。


せっかく逃げ出したのに逆戻り。いや、更にひどくなったかも。足枷の他に手枷までついた。もう逃げられない……



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