憂鬱girl

今朝のお詫びに学校まで送って行くという天咲秋人の申し出を丁寧にお断りしてから自転車を跨ぐ。車の方が何倍か楽だし、天咲秋人の車はフカフカで座り心地がいいんだけど…嫌だ。特に今日は何か様子が変だし。




『天咲秋人』は春兄の友達で高校生の時からよく泊まりに来る。それは大学生になっても変わらなくて、一流大学に進んだ二人は相変わらず仲が良くて、もう家族みたいだ。



だけど、あたしは、妹なんかじゃないし




年頃の女の子なわけで





「日和、早く乗れ」





そんな事をグダグダ考えているうちに、いつの間にか横付けした高級車のウインドゥが開いて、どこにいても目を引くであろうその人はまるで当たり前みたいにそう言い放った。


既にいつもの調子だったから、幾らか安心したけど。


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