憂鬱girl
「さっきお断りしたじゃないですか」
あたしはスイっと前方に視線を移す。この人と登校するとろくな事がないから。
「うるせー、早く乗れっつてんだろ」
口調の割に、面白そうな表情が益々鼻につく。
「嫌ったら嫌です」
「…本当、強情だな。」
天咲秋人はフゥと短く息を吐いて、ウインドゥを上げた。
諦めてくれたのかな…と思ったのも一瞬。
自転車に乗って、素早くこの場を去ろうとするあたしの肩は、
「い、痛いっ」
いつの間にか車を降りた天咲秋人の腕に呆気なさ過ぎる位あっさりと捕まって、
また
「セ、セクハラですっ!!」
抱き締められた腕の中。