神様のきまぐれ
元田が、
思いだすかのように
続ける。

「ヒナコって、あんまり
喋らなかったんじゃない?
たまにスゴイことゆうもんな。
あれ?天然てゆーのかな?」

さらに、タクトの
フォローなしの分析が
加わる。

「アイツ、喋んの遅いから、
いつも最後まで言わんうちに、
会話が終わってて。
今も、そうじゃないっすか?
速くなりました?」

「遅いな。」

すかさず、
自分もいってしまう。

でも、いつも、ちゃんと
自分の考え方を持ってた。

ヒナコなりに伝えようと
してくれていた。

足りない言葉であっても。


本当は、ちゃんと、
わかってる。


自分の思考にハマリそうな俺を
タクトの言葉が、
現実にひき戻す。

「ああー。日向さん、大変。
頑張って聞き出してください。
アイツ、言わん癖
ついてるから。」


何で、俺?って、
いいかけたけど。

ヒナコの言葉を
ききたい。


聞きたいコトバがある。

ヒナコの気持ちを。


聞けるだろうか。
今度こそ。


そして、俺も
伝えなきゃいけない。

自分の気持ちを。

もう、いい加減、
もらうだけ、じゃあ、
なくて。



 
< 139 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop