神様のきまぐれ
「俺は、ヒナコに
惚れてます。

でも、
先の保証のない仕事だし、
昨日も、タクトに
話しましたけど、
それが原因で
離婚もしてるから・・・。」

タクトは、ヒナコよりも
An-sに精通してた。

当時の、雑誌の記事なんかも
よく覚えていて、聞かれた。

『ニーノより、
結婚早かったですよね?』って。

驚いたが、
そんな話もしているうちに、
いまの自分達の現実は、
己の気持ち程には、
甘くないと認識した。

いつまで
売れるかなんて、
わからない。

聞いて来たモノが違うんだから
いずれ、音楽性も変わってくる。

と、なると・・・

「再婚も・・・
先は、わからないけど、
考えにくくて。

ヒナコの年齢を考えれば、
そういう事も、
考えるだろうから。」

だから、昨日も、
どこか他人事な
気持ちの伝え方を
してしまった。

ガキみたいに・・・


言うのは、簡単なんだ。


気持ちを伝えて、
今だけなら・・・。


「だから・・今だけ
ってなら、・・・」

とうとう、
言葉も、つまてしまった。

「具体的行動は、
起こしづらいと、
いうところだね。」

彼は、穏やかに、的確に、
つまった言葉をいった。



 
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