神様のきまぐれ
神様のきまぐれ
 


「ヒナコ。帰るぞ。」

ヘッドホンを
さっさと取り上げて、
日向さんがいう。


「はーい。」

毎日、志央の突き付けてくる
イメージと悪戦苦闘している。

時間を忘れそうになるのも、
毎日の事で。


「毎晩、すいません・・。」

文句も言わず、
彼は、付き合ってくれる。

「いいよ。
・・・あきらめてるから。」

私と言えば、とにかく、
目の前の事を、きちんと
やることで、精一杯の日々だ。


「ヒナコ・・・。」

不意に、日向さんが呼んで。

「何?」

「何でもねぇよ。」

「・・変なの。日向さんてば。」

そばにいることが、
嬉しくて、笑みがこぼれる。

「悪かったな。」

照れてる。


「ふふっ・・・」


日向さんは、
私を太陽のイメージに、
例える事がある。


でも、私にとっての彼も
太陽の光の様に、大胆で
柔らかくもあり、繊細な人、
いつも一緒にいたい人。



会えてよかった。


って、
口にだせば、

無表情を装いつつも、
照れるんだろう。




彼の指に、自分の指を絡め 
横並びに歩きだす。




 
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