たからもの。



「なに見てんだよ」




私の視線に気づいた神崎が、声をかけてきた。




「べっ、別に!!」




私はハッとして、慌てて顔をそむけた。




「香宮、これやる」




「え?」




振り返ると、目の前にはパンが差し出されていた。




「俺、今日はパン二つ買ったから、一つやる。
有り難く思えよな」




「あり…が…と」




意外な神崎の一面に驚きながら、お礼を言う。





「マジで変だよな、お前」





「ふぇ?」






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