【短編】ギター少女とヘビースモーカー
「あーそーだ サチ、渡辺先生誘った?」
え… なんで私?
「トモが誘えば?」
4階の風は気持ちいい
窓際に座って、弦をジャラーン…
誘っても、OKしない気がしてきたなぁ
生徒とのバンドなんて、ライン…超えてるし
第一、文化祭のために練習するなんて、あの人そんなタマじゃないし
私以外のトモたち3人のメンバーの話で、いつのまにか私が誘うことに決定していた
マジか…
分かってるのにわざわざ聞きに言って、案の定断られるのって、いい気しないなぁ
隣の部屋から、他のバンドの音が聞こえてきた
あんま知らない、パンクっぽい曲
「きったない声…」
隣のあまりの大音量で、私がポツリとつぶやいた声は、誰にも聞こえていないと思う
部内のルールで、他の人がフルで演奏してるときは邪魔しないってことになってる
でも、隣のあまりにもひどい曲に、いや、多分ギターとかドラムとかはいいんだ
あのボーカルの人の声がひどくて、フルフルして、ウズウズしてきた
隣の演奏がやっと終わって、メンバーみんなをチラッと見た
みんな、思ってることは同じらしい
「いくよっ!!」
トモのキレイに重なったアルペジオが鳴り響く
そこに、ドラムの規則的なリズムが重なる
そして、そこに私が飛び込む
チャットモンチーの、「恋の煙」