おばかに恋する性悪王子

結局、その後はあのおじいちゃんに追い出されたあたしたち。


沖谷准夜はブツブツ文句をいいながら、あたしの隣でエレベーターを待っている。


追い出されたからには、住む部屋を探さなきゃなんだけど…。



「………おい。」



どっかあるかな??



「…おいっ!!」



やっぱ沙菜の部屋だよなぁ。
事情言って沙菜に泊めてもらおう。


「おいっ!!くそちび女!!」


「誰がくそちびだコラ!!」

いきなりなんなのこいつ!!


「さっきっから呼んでんだ。返事くらいしろよちび。」


「はいはい、すいませんでした〜。この性悪男!!」



あぁー、むかつく!!
だいたい、追い出された大本はおまえだよ沖谷准夜!!



「っんだと!?黙れちび。……………悪かった…巻き込んで。」



シュンとしてボソッと呟く沖谷准夜。
え、なんかキュンと来ちゃったじゃんか。



「いや、別に大丈夫だよ。」


「そうか…悪ぃな。」



誰これ!?
ものすごい純粋っぽいぞ!?
顔がいいだけあって、様になるなぁ…。



「大丈夫!沙菜んとこ泊まるし!!」


「………!!そこまで荷物持ってやる。」


「えっ、いいよ。」



あたしの否定も聞かず、荷物を持ってエレベーターから降りる沖谷准夜。


少し違うけれど、それはあたしの王子様像とほんの少し被っていて。


なんだかヒヤッとした。


あんな人があたしの王子様だとか、嫌だからね。





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