咲いても、枯れても1~サクラ色~



『怒ったと思ったら、また笑ってるし。本当に変なヤツだな~お前は』


『うるさいわね!!いきなり後ろからカバンぶつけるなんて、あり得ないっ』


『ぼっとしてる方が悪いんだ!!目、覚めただろう?』


『…そういう問題じゃないでしょ?!女の子に暴力振るうなんて、あんた馬鹿よ!!』




だから、嫌いよ。

昔からこういう幼い男子は無視してきた。

対抗する自分が幼く見えるのが絶対に嫌だったから。


けれど、海斗は違う。


わからないけど…反応してしまう。

無視出来ない。



『お前、なんかムカつくんだよ!!見ると、腹が立つ』


『はあ?!何言って─…』

『お前だけなんだよ。こうやって話せる女。白純美、だけ』



胸の奥がキュッとしまる。

名前を、呼んだ…から?


ほら、そうやって突然、表情を変える。

声色を変える。

あなたを、変える。

だからわからないのよ。

無視、出来ないのよ。



────まだ、“本当のあなた”がよくわからない。



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