咲いても、枯れても1~サクラ色~

身分格差




『俺はね、西条家の長男、西条拓だよ』




長男。


ってことは、秀介くんが次男?



それで、二人には付き人という名の側近が付く。


優美で、整った顔立ち、この素晴らしい容姿は、やっぱりお金持ちだったから、ね。



“大富豪の長男”


全てそれで折り合いがつく。




『と、ところであなた、なんでこんなところにいるの?危なくないの?私なんかといて』



急に襲ってくる、この感情。




『ああ、平気だよ。そんなに常に監視されてる訳じゃないから』



私とは、違う。


まるで身分違いなんだ、と。



気高くて、触れてはいけない人なんだ、と。


そう思うと、なんだか苦しくなった。





『さくら?』




居たたまれない気持ちが、襲う。


なんで、こんなお方を。



なんで、淡い感情なんぞを。




一瞬にして、“触れてはならぬお方”に成ってしまった。



背景、として咲く桜。


それまでもが、輝いて、さらに桃色を増して見える。



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