初恋ドロップ


「私の家この近くだから」

もう大丈夫と言い
繋いだ手をゆっくりほどいた


さすがに浅野君に家を
見られるのはヤバいよね


一人暮らしというのはなるべく知られたくないし




「気をつけろよ」


「すぐそこなんだから
大丈夫だよ!本当に浅野君は心配性だね!」



「うるせ―よ」


そう言って帰っていく浅野君の背中が大きく見えた





まだ繋いでた手は温かい


浅野君と繋いでた手を
そっと頬にあてる



自然と涙だ頬と手を伝う


きっと浅野君は
私が泣いてるなんて
想像もしてないだろうな


だって

誰かの温もりがこんなに心に染みるなんて知らなかった



この涙はなんだろう

この気持ちはどうしたはいいの?



本当は分かってる

私の心だもん


だけど気付いちゃだめ

自覚しちゃだめ


浅野君の迷惑になることは
分かってるんだから


だけど今日だけは
許してね?


この手ぬくもりが
消えないまでは




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