初恋ドロップ
「ここ落ち着くよな」
浅野君は屋上の手すりにつかまり、思いっきり深呼吸した。
「昨日も入学式さぼってここにいんでしょ?」
「当たりっ!ここなら煩い女子の声も聞こえないしなっ」
「それ、普通は喜ぶところだよ?」
だって
男の子が女の子にモテて嬉しくないはずないよ。
「お前らの普通と一緒にすんなよ!」
「俺はさ、自分のことよく知らないやつに色々言われたくないだけだよ―・・・」
ああ―――
この人は恵まれてるんだ。
「いいね、私なんか嫌われるのが怖くてしかたないのに」
思わず口に出てしまった。