彼の隣りに寝る女
私は母親に、彼氏ができましたという報告も兼ねて、

そんな和やかな恋愛話すると、

「パチンコ店員なんて冗談じゃないわ!早く別れなさい」

そう叱られた。

なんとなくわかっていた。

つりあってないことを。

私はそれでかまわない。

でも親が反対するであろうことを、どう回避しようか頭の中でたくさんの言い訳を考えていた。

そして私は親に反対されることでさらにムキになっていた。

クリスマスまでにと編んでいたセーターが遅れていて

内くんと会うのを我慢してセーターを編むことに専念していた。

最後の1週間はほとんど寝ずに仕上げた。

イブの前夜、私はご飯作って、クリスマスケーキを焼いて内くんがくるのを待っていた。

「ひながケーキ焼いたの?」

「うん。でもケーキでびっくりしちゃダメだよ」

そういって、ラッピングしていたセーターを渡した。

内くんは手編みセーターをもらったのは初めてらしく、ものすごく喜んでいた。

次の日、そのセーターを着て、表参道のイルミネーションを見に行った。

そのあと内くんのお母さまにわざわざ私の手編みセーターを自慢しに行った。

そんなところがかわいい内くん。

内くんから私へのクリスマスプレゼントは、

名前入りのおそろいの指輪だった。

私の人生ではじめての指輪のプレゼントだった。



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