彼の隣りに寝る女
それからしばらくさみしい日々が続いた。

指名客もあまり続かず、それは私だけではなくお店全体の売り上げが低迷していた。

「ひな〜。今日はお店暇なんだからいつもの若いの呼んでよ〜。」

そう店長にノルマをかけらるも私から内くんに電話はできなかった。

思い切って橋ちゃんに電話をしてみたら、すぐにお店に来てくれた。

内くんが急に連絡をくれなくなったことを相談してみた。

「内はひなちゃんのこと本気だよ。」

「でも同棲してる彼女いるでしょ?」

「言っていいのかなぁ。内は彼女と別れるために仕事探してるよ。同棲してるのは会社の寮だから、別れるには仕事もやめないといけないんだ。今は寮からじゃなく実家から通ってるはず。」

「知らなかった・・・」

「全部ちゃんとしてから告白するつもりなんじゃないのかな。ひなちゃんがその気持ちに答えられないなら内のこともう相手にしないで。あいつ純粋なんだよ。」

このとき初めてお水の仕事の辛さを知った。

「内くんと話がしたいな・・・」

「僕の携帯からかけてみようか!?」

橋ちゃんが内くんに電話をかけた。

「内?オレ今どこにいると思う〜??」

明るい声で内くんと話す橋ちゃん。

「はい、話なよ!」

すぐに私に携帯を渡してくれた。

「ありがとう!」

私は内くんと話した。

「内くん?」

「ひなっち??え?ひなっち?橋ちゃんずるいなぁ。1人でひなっちに会いに行って〜。」

「元気?」

「元気〜!ごめんね、仕事忙しくて連絡できなかったんだ。」

意外にも明るく話してくれた。

「ひなっちから電話くれてうれしーよー。」

「橋ちゃんからだけどね(笑)」

「近いうちに会いに行くから待っててね!」

そう言って電話を切った。
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