ペアリングを外して

 分別された久美の名残は、一週間で全てなくなった。

 二年間をリセットしたというのに、意外にもあっけない。

 こちらの準備は整った。

 もういつでも三村を迎え入れることができる。

 色濃い三年間を抱えている三村はどうだろうか。

 もう俺には、待つ以外手段がない。

 連絡は一週間が経っても来ないまま、季節は冬、12月を迎えた。

 いつまでだって待ってやる。

 返事がイエスでも、ノーでも。



 それにしても12月というのは目まぐるしい。

 街はクリスマスモードに切り替わった中、仕事は期末決算に向けて大忙し。

 作成する資料の数は増え、忘年会と称して取引先と飲む機会も増え、日にちはどんどん過ぎていく。

 中旬を過ぎても、三村からの連絡はなかった。

 そしてクリスマスも近くなったある日、取引先の課長と酒を飲んだ後の帰り道。

 乗り換えの駅のホームに立っていると、ポケットの携帯が震えた。

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