愛とギターとガラクタと
「あ、航!こっちこっち」
病院の出入り口の所で、葵が大きく手を振っている。
俺は緊張していた。
死ぬほど心臓が張り裂けそうで、足がガタガタ震えた。
こんな曲で、詩織ちゃんは喜んでくれるんだろうか?
葵は優しく微笑んでくれるだろうか?
独特の病院の臭いがツンと鼻をついた。
泣きそうだった。
病室に着くと、詩織ちゃんがベッドで寝ている。しゅんとして、元気がない。青白い肌が痛々しかった。
でも俺の姿を見つけるや否や、ばっと布団をかぶった。
「照れてるのよ。初恋の人が来てくれて」
初恋、ね。
五歳の詩織ちゃんの初恋の相手が、俺だなんて何だか申し訳ないような気持ちになった。
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