愛とギターとガラクタと
「お姉ちゃん、ワタルお兄ちゃんのことだっこしてあげてて」
「え?」
「ワタルお兄ちゃんが安心するように。だって、お姉ちゃん、お兄ちゃんのこと好きでしょ」
「ちょっ、詩織」
葵は真っ赤になって、俺を見た。
俺もあっけにとられながら、顔を赤くした。
「ワタルお兄ちゃん、いつも楽しそうに歌ってたもんね。頑張ってたもん。かっこいいよ、ワタルお兄ちゃん」
天使だ。
その笑顔が引き金になって、涙が溢れてきた。
かっこいいって言ってる。俺なんかのこと。
何をしてもダメで、意思も弱くて、だらしがない俺なんかのことを。
葵は、そっと後ろから、俺の肩に手を置いた。
「大丈夫だよ。歌って、航」
俺は涙を流しながら、何度も頷いた。
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