愛とギターとガラクタと


母ちゃんは、何だかんだ親父に内緒で仕送りを増やしてくれた。そのおかげで学費は仕送りとバイトで、どうにかまかなえた。


専門学校では、当たり前だけど、本当に毎日毎日音楽づくめ。
音響機器、音楽史、作曲、作詞、ミュージックビジネス。


だけど甘かった。
『我こそは!』っていう才能に満ち溢れた顔が、そこには沢山並んでいたし、どうしても華やかになるその世界が、俺の肌に合わなかった。


最初は、毎日新しいことが学べて嬉しい、毎日成長していけてやりがいがある、なんて思っていた。

でも、だんだんとそれは『毎日の繰り返し』になっていきつつあった。



そして思った。


何だ?
俺は、一体何がしたいんだろう。
このまま続けたって、発展性がない。
一番ないのは、才能、個性。

おれの目は、きっと他の奴らみたいに光り輝いていないだろう。



それで俺は、親に内緒で中退。

結局一年も続かなかった。



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