甘い蜜



「お帰りなさい。敬夜」


にっこりと笑顔を張り付かせて待っていたのは数年振りの母親。
しかし、目は笑っていない。


「………只今、帰りました…」

「何年も連絡一つ寄越さないで良い度胸ですね?」


ニコニコと笑いながらしかし言っていることは恐ろしい。
顔が引きつる。


「………」

「やっと帰ってきたと思ったら、娘を連れてきて………」

「は?否、彼女は私の子では……」

「それくらい分かっています」


馬鹿にしているのですか、と怒られる。だったら紛らわしい言い方するな、といいたいのに威圧で反論できない。



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