甘い蜜
その小さな体は確かに震えていて、守ってやりたいと思った。
相手は生徒。しかも自分のクラスのだ。
俺は教師。子供の模範にならなきゃいけない。………でも。
「……なら、ここに住むか?」
「……え?」
「また、ずぶ濡れになられても困るし」
何より、この温もりを離したくないと思ってしまったから。
「………いいの?」
恐る恐るといった体で山内は上目遣いに見上げてくる。
「お前が、いいならな」
そっと山内の前髪を払う。山内はやっぱり戸惑いながら、でもしっかりと頷く。